泥の中を走る田植え機には大きな負荷がかかります。適切なメンテナンスをしておかないと、何らかのトラブルが起こるものです。いざ田植えシーズンを迎えてから故障が発生して慌ててしまった、というケースも少なくありません。
この記事では、田植え機トラブルのよくある事例をもとに必要なメンテナンスを紹介します。日常的に行うものと、定期的に行うものとの2種類に分けて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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田植え機のよくあるトラブルはメンテナンスで予防!
田植え機にはさまざまなトラブルが起きますが、その多くはセルフメンテナンスで予防できるものばかりです。よくあるトラブルの事例から、田植え機のどの部分に原因があるのかを確認しておきましょう。
植付けがうまくいかない
田植え機の植付け不調に関する悩みは、多くの農家が経験していることです。植付けができていない部分が生じる「欠株」、植付けてもすぐに浮き上がってしまう「浮き苗」などに悩まされがちです。
植付け姿勢が悪くなることもあります。「転び苗」「ばらけ苗」といった言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
植付爪の摩耗や変形、植付アームのグリス不足などが要因として考えられます。泥水に浸かる部分なので、こまめなチェックが必要です。うまく植付けができないと収穫量にも影響します。
肥料が詰まる
肥料が詰まるケースも珍しくありません。ホッパ内に肥料を残したまま長期保管してしまうことで肥料が詰まることはよくあります。
田植え作業中に雨が降ったとき、田植え機をほ場に放置したときにも、同様のトラブルが起きます。水分を吸収した肥料がホッパ内に固着し出てこなくなるのです。
施肥部のメンテナンス不足ということも考えられます。目皿部や施肥ホースの掃除がされていないと、肥料詰まりだけでなく施肥むらの原因ともなります。
苗のせ台が動かない
支持シューが摩耗していると、苗のせ台はうまく作動しなくなります。支持シューの役目は苗のせ台の保持で、左右の動きをサポートしています。
苗のせ台がまったく動かなくなった、左右に動かなくなったといったトラブルが起こると、植付けができなくなってしまうため作業を中断せざるを得ません。
また、作動はしても動きが悪くなる場合は「グリス不足」の可能性があります。苗のせ台支持シュー・苗のせ台規制シュー・苗受板シューなど、グリスが必要な箇所はいくつかあります。
エンジンの調子が悪い
セルフメンテナンス不足は、田植え機のエンジンにも不調をきたします。長期保管前にガソリンを抜かなかったことで、翌シーズンに田植え機のエンジンがかからないといったケースがよく見られます。
エンジンの回転数が安定しなかったり、エンストしたりと、田植え機のエンジントラブルはさまざまです。エンジンの不調は、田植え機そのものの寿命を縮めることにつながりかねません。
キャブレター・点火プラグ・燃料フィルタなど、燃料系統にはセルフメンテナンス箇所がたくさんあるので、定期的に確認するようにしましょう。
田植え機のセルフメンテナンス箇所はどこ?
田植えシーズン中の故障を防ぐため、日ごろから田植え機をメンテナンスしましょう。エンジン部、走行部、施肥部、植付部に分けて、日常的に行いたいメンテナンス方法を紹介しています。
ただし、メンテナンス基準は田植え機によって異なります。ここで紹介する内容は一般的な例として参考にしていただき、必ず取扱説明書を確認するようにしてください。
エンジン部のメンテナンス
エンジン部のメンテナンス箇所は多岐にわたります。まず、エンジンオイルが規定量入っているか、汚れはひどくないかを確認してください。
オイルゲージを抜き出し、先端についたオイルを拭き取って汚れ具合を見ます。その後再度オイルゲージを差し込んで、オイルが上限と下限の間になっているかをチェックします。
バッテリーの液量も減っていないか確認しましょう。不足している場合は精製水を規定量入れます。変形や損傷、サビのチェックも必要です。
これらはエンジンの作動に関わるため、こまめにメンテナンスを行いましょう。田植え機の走行時にも、エンジンの音や排出ガスの色に異常がないかなどを確認しておくことも重要です。
走行部のメンテナンス
タイヤの空気圧が基準値にあるかを確認します。空気を入れたり抜いたりして、空気圧が基準値となるように調節をしてください。適正ではないまま走行すると、タイヤの損傷にもつながります。
亀裂やひび割れといった損傷も要注意です。ラグが摩耗していないか、大きな亀裂が入っていないかチェックしましょう。損傷を見落とすと、パンクして重大な事故を引き起こす可能性があります。
メインベルトも損傷があれば交換を依頼してください。また、ブレーキの点検も忘れず行いましょう。平たん地と傾斜地のそれぞれでブレーキが正常に作動するかを確認します。
また、エンジンオイルと同様に、ミッションオイルが規定量入っているかもチェックしましょう。
施肥部のメンテナンス
施肥部は田植えと同時に肥料を出す部分です。詰まりがあると施肥むらが起こり、生育に影響を及ぼします。肥料の詰まりがないかを確認し、必要に応じて洗浄しましょう。
洗浄が必要になるのは「ホッパ」「ロールケース」「ホース」です。洗浄前にはホッパ内・ロール内の肥料を除去して空っぽにします。ロールケースは分解しましょう。
繰り出し部の部品とあわせて水洗いした後は、よく乾燥させてください。乾燥後には注油およびグリスの塗布が必要です。
肥料の種類を変更するときにも、肥料が混ざらないよう清掃します。シーズン中に田植え機の洗車をする際には、施肥部に水がかからないよう注意しましょう。
植付部のメンテナンス
「植付爪」と「植付アーム」のメンテナンスを行います。植付爪に摩耗・破損・変形がないかを確認しましょう。植付け性能を維持するため、適切なタイミングで指定された爪と交換します。3mm以上摩耗していたら交換のタイミングです。
植付アームは押出し金具とも呼ばれます。変形や損傷がないかを確認し、必要に応じて交換します。スムーズに作動するかも確認しましょう。
作動していないときは手で動かして確認します。植付アームが真下にきた状態で、植付けアームが動かなければ販売店などに相談してください。
田植え機の定期的なメンテナンス
田植え機の定期的なメンテナンスとして、稼働時間を確認しながら行うものがあります。稼働時間はアワーメーターで確認できます。
定期的なメンテナンスでは「消耗品交換」と「必要箇所の清掃」を行います。念のため取扱説明書も確認しておきましょう。機種により交換時間が異なります。
エンジンオイルの交換
エンジンオイルを交換するタイミングは以下の通りです。なお、目安時間に達していなくても、汚れがひどいときには交換をおすすめします。
・初回は20〜50時間目
・2回目以降は100時間使用ごと
交換するときにはまず、田植え機の中にあるエンジンオイルを完全に抜き取ります。ドレンプラグを外し、給油口のフタも開けると早く抜けます。完全に抜けたらドレンプラグを取り付けます。
給油口から純正オイルを規定量になるまで入れます。交換後にもう一度量を確認しておきましょう。オイルが少なければ給油、多ければ抜き取ります。
エアクリーナの洗浄・交換
アワーメーター表示で50時間ごとに、エアクリーナを取り外して清掃します。エレメントと呼ばれるスポンジを取り外し、灯油やガソリンで洗浄を行います。ひどい汚れや破損があれば新しいものに交換するのがよいでしょう。
このほかのタイミングでも、エアブローを使用してホコリやチリを取り除く作業をするのが理想的です。エンジン内部へのホコリの侵入を防ぐ大切な役目があります。エンジンの性能維持のために、こまめにメンテナンスしましょう。
点火プラグの交換
点火プラグは100時間ごとに清掃が必要です。点火プラグを取り外し、電極部に付着したカーボンなどの汚れをワイヤブラシで落としてください。
200時間ごとを目安に、電極とのすき間を確認しておきましょう。電極部が摩耗しているときは、型式に合ったプラグに交換します。
これらのメンテナンスを怠ると、点火不良の原因となりえます。燃料に引火ができず、エンジンがかかりづらくなってしまうのです。
点火プラグを取り付ける際は、強く締めすぎないように注意してください。また、乱暴にするとネジ山を破損させるおそれがあるため、慎重に締めます。
オイルフィルタの交換
外見からは交換のタイミングが分かりません。アワーメーターの表示時間をもとに交換してください。交換作業はエンジンオイルが完全に抜けた状態で行います。
オイルフィルタを交換するタイミングは以下の通りです。
・初回は50時間目
・2回目以降は150時間使用ごと(メーカーによっては300時間)
ミッションオイルと同時に交換しておきましょう。ただし、ミッションオイルとは2回目以降の交換時期が異なります。ミッションオイルを交換する2回に1回のタイミングで交換すると良いでしょう。
ミッションオイルの交換
ミッションオイルは油圧装置の作動油に使われています。変速や動力伝達をスムーズにするため、定期的な交換が必要です。交換の目安は以下の通りです。
・初回は50時間目
・2回目以降は100時間使用ごと、または3年経過後
ただし、2回目以降はメーカーや機種ごとに目安時間が大きく異なります。「600時間使用後ごと、または2年経過後」とするメーカーもあります。使用している機種の交換時間を確認しましょう。
なお、汚れがひどいときは使用時間に関係なく早めにメンテナンスしてください。オイルが規定量入っているか、交換後にもチェックしましょう。
各部の注油・グリスアップ
田植え機各部に注油もしくはグリスアップをすることも重要です。部品同士が接触する箇所において、摩耗や破損が起こるのを防ぐ役目があります。水やホコリの侵入、サビの発生も防ぎます。
シーズン後の長期格納前には、必ずメンテナンスのひとつとして注油・グリスアップをしてください。また、シーズン中でも洗車をした際にも必要です。汚れとともに油分が流れてしまっています。
不定期で使用する田植え機については50時間使用ごと、あるいは1年経過後にメンテナンスしましょう。
メンテナンスをしている田植え機でも故障は起きる
田植え機の細部まで点検するには、プロの整備士によるメンテナンスも欠かせません。年に1~2回はメーカーなどでメンテナンスをしてもらいましょう。田植え機の故障を防ぎ、長寿命化につながります。
出張サービスを利用すれば、田植え機のある場所まで来てくれるので便利です。安心して田植えシーズンを迎えられるよう、シーズン前に見てもらうのが良いでしょう。
メンテナンスをきちんと行っていても、いずれ故障するときがきます。一般的に田植え機の寿命は300〜500時間だといわれています。あくまで目安なので、より長く使えるケースもあります。
故障してしまった場合、修理するか買い替えるかを検討することになります。大きな故障であれば、想定以上に修理費用が膨らむことがあります。修理代がかかりすぎる場合、修理ではなく買い替えをした方が良いでしょう。
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桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。