苦土石灰は、土壌改良をする資材のひとつです。多くの農家が、土壌環境を整えるために使用しています。土壌環境を整えることは、作物に必要な栄養分を吸収させるために重要です。
また、苦土石灰は土壌中の通気性や水はけを向上させる働きもあり、植物の根の発育が良くなります。しかし、必要以上に使うと土を固くしてしまい、逆に植物の生育が悪くなってしまいます。
本記事では、苦土石灰の使い方や注意すべきこと、まくタイミングなどを詳しく紹介しています。
苦土石灰(くどせっかい)とは
苦土石灰は、主にマグネシウムを供給するために使用する、土壌改良剤のひとつです。また、苦土石灰は、酸性に傾いた土壌を中和する働きがあります。以下に苦土石灰の成分や特徴について詳しく紹介します。
苦土石灰の成分
苦土石灰は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが主成分です。ほかにも鉄・マンガン・亜鉛・銅も含まれることがありますが、微量です。ふたつの主成分の働きは、以下のようになります。
炭酸カルシウム:
炭酸カルシウムは、土壌の酸性度を中和する働きがあり、pH値を上昇させます。pH値とは、土壌の酸度を示す数値です。数値が大きいとアルカリ性、数値が小さいと酸性となります。0〜14までの数値で判断し、pH7は中性です。
pH値を上昇させ、土壌が酸性から中性に近づけることで、植物の根がしっかりと栄養分を吸収できる環境が整います。多くの植物は、酸性が強いと根のトラブルが発生しやすいので、弱酸性のpH6前後になるように調整されます。
炭酸マグネシウム:
炭酸マグネシウムは、植物にとって大切な栄養素であるマグネシウムを供給し、植物の葉緑素の形成を促進する働きがあります。植物にマグネシウムが不足すると、葉が黄色くなってしまう栄養欠乏症になる可能性があります。
苦土石灰の特徴
苦土石灰の原料となるドロマイト(鉱石)は、粉砕された天然の資材です。苦土石灰は、土壌のpH値を調整や、マグネシウムの供給をするほかに、カルシウムも供給します。カルシウムは植物の細胞壁を強化し、植物全体を支える役割があります。
このように、苦土石灰は植物の生育をサポートすることが可能な土壌改良資材です。比較的安価で入手しやすく、適切な使用であれば安全性に優れているメリットがあります。
しかし、必要以上に使用した場合は、植物の栄養吸収を妨げ、かえって悪影響となってしまったり、土壌がアルカリ性に傾いてしまうなどのデメリットもあるので、使用量には注意しましょう。
最大のデメリットは、ほかの肥料と併用するのが難しいことです。特に、窒素肥料やリン酸の肥料を同時に使用すると、化学反応を起こし、効果が減少することがあります。
消石灰との違い
苦土石灰と消石灰は、どちらも土壌改良剤として有用ですが、成分や効果、使用方法が異なります。消石灰は、石灰岩や石灰石が原料で、主成分が水酸化カルシウムです。
苦土石灰は、緩やかな土壌改良に向いていますが、消石灰は、酸性土壌を急速に中和し、短期間で効果が現れます。また、殺菌効果があるので、病害虫の抑制や、土壌の消毒に使うことができます。
苦土石灰をまく理由
畑に苦土石灰をまく理由は、土壌の酸性度を中和し、カルシウムとマグネシウムを供給することで、植物の成長を支えるからです。適切なpH値を維持することは、病害虫を抑制することになります。酸性に傾いた土壌は、病害虫にとって好環境になるからです。
苦土石灰をまくべきタイミングと量
苦土石灰をまくタイミングは、土壌改良で使用するならば、作物を植え付ける2〜3週間前がよいでしょう。苦土石灰は暖効性であるため、土の中でなじむまでの期間をかけておくと効果が発揮されます。
土壌内の酸性度を調整する場合は、春と秋の年2回の使用が良いでしょう。ただし、必要以上にまくのは避けるべきです。使用する際は、苦土石灰を土壌に均一に撒き、土とよく混ぜ合わせます。
追肥で使用する場合は、作物の成長期にまくこともできますが、ゆっくりと効果がでる資材なのでおすすめできません。追肥で使用するならば、苦土石灰は、根の成長を促す働きがあるので成長初期にまくとよいでしょう。
苦土石灰の効率的なまき方
苦土石灰を効率的にまくための、基本的な手順を以下にまとめました。
1.土壌のpH値を測定
市販されている土壌pH測定器を使えば、簡単に測定可能です。
2.必要量の計算
土壌のpH値と面積に基づき、必要な苦土石灰を計算します。一般的には、pH値を1ポイント上げるためには、10平方メートルあたり約1〜2kgの苦土石灰が必要です。必要量は、土壌の酸性度と目的によって異なります。
3.まくタイミング
土壌改良剤として使用する場合のタイミングは、作物を植え付ける2~3週間前にまくと、効果的です。また、秋から冬にまく場合は、冬の間に土壌が安定し、効果が現れやすくなります。
苦土石灰がない時はどうしたらいい?
苦土石灰がない場合は、代替手段を使用することで、土壌中のpH調整や、栄養を補うことが可能です。以下に代替手段の一例を紹介します。
このような代替え手段を使用する際は、定期的に土壌のpH値や栄養素のバランスをチェックし、必要に応じて調整します。苦土石灰は、土壌のpH調整や植物が栄養を補給する為に効果的に土壌環境を整える資材です。
苦土石灰や代替え資材を使用する場合は、土壌状態をよく確認して、使用量を守ることが大切です。園芸用資材は、適切に使用、もしくは適切に組み合わせることで、植物の健康な成長を支援することができます。
石灰石粉
石灰石粉は、主に炭酸カルシウムから成り、マグネシウムは含まれていませんが、苦土石灰と同様に土壌内の酸性度を中和します。
ドロマイト
ドロマイトは、苦土石灰の原料なので、土壌のpH値の調整やカルシウム・カリウムの供給が行えます。
消石灰
消石灰は、土壌の酸性度を迅速に中和します。ただし、強アルカリなため、使用量には注意が必要です。また、消石灰は、カルシウムの供給はしますが、マグネシウムは供給しません。
有機物
堆肥や腐葉土を土壌に追加すれば、土壌内の物理的性質を改善し、微生物の栄養素の供給が可能です。有機物は、土壌の団粒構造を改善して、通気性や水はけを向上させます。
まとめ
苦土石灰のような土壌改良剤をまく際には、農機具を使うと便利です。作業場所やタイミングによって必要な農機具は異なりますが、散布機などを利用するのもよいでしょう。
散布機は大型のものもあり、金額は高いですが中古のものを購入することでいくらか費用が抑えられます。
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株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。