果樹園のように広い圃場での農薬散布には欠かせないスピードスプレーヤ。さまざまな種類があるため、選び方を間違えると失敗してうまく活用できなくなる可能性があります。この記事では、スピードスプレーヤの選び方の基本を徹底解説します。
キャビン、歩行型といった種類や主要メーカーの特徴、使用時の注意点や寿命、価格相場に至るまで、スピードスプレーヤの基本をまとめました。
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スピードスプレーヤの用途・特徴とは?
スピードスプレーヤとは、果樹園など広い敷地の農園で液状の農薬を散布するために用いる機械です。複数のノズルが円周状に取り付けられており、大きな送風機で風を起こすことで、高い場所や広範囲へ薬剤を散布できます。
農薬は小型の散布機やホースで撒くこともできますが、広い圃場では時間がかかりムラになりやすかったり、高さのある樹木には届かなかったりします。大型のスピードスプレーヤを使って一気に広範囲へと散布することで、効率化が図れます。
仕様や走行方式は多岐にわたり、それぞれの植え付け方に適したものや、傾斜や凸凹に対応したものなどを使用環境に合わせて選ぶことができます。
スピードスプレーヤの歴史
1900年代半ばに初めてアメリカからスピードスプレーヤが輸入され、そこから数年で国産のスピードスプレーヤが導入されました。一気に広範囲へ農薬を散布できる効率の良さが当初から注目されています。
当初はけん引式のみだったのが、自走式や無人式、四輪駆動など作業条件に合わせて開発が進み、スピードスプレーヤは普及していきました。2015年には環境配慮型の電気式スピードスプレーヤが世界に先駆けて日本で発売されるなど、いまも進化を続けています。
スピードスプレーヤの選び方
農作業の効率化や持続可能性のために、現在も改良が進められているスピードスプレーヤ。さまざまな製品が販売されているなかで、自分の農場に合うものはどう選べば良いのでしょう?ここからは、選び方のポイントを解説していきます。
予算と使い勝手で車体を選ぶ
大型の農場で効率的に散布を行うため、スピードスプレーヤは乗用型の自走式が主流です。乗用型は、オープンとキャビンの2種類に分けられます。
その違いは運転席にあります。オープン型は運転席に屋根が付いていないため、作業者は散布した農薬がかからないようゴーグルやヘルメットなどの装備が必要です。
キャビン型は運転席が屋根などで覆われています。比較的新しいタイプで価格も高い傾向にあるため、予算に見合っているかも確認しましょう。
圃場に合わせた走行方式で選ぶ
乗用型でも、斜面などで小回りが利くように工夫されたものがあります。4WD(四輪駆動)は柔らかい地面の上でも走行しやすいタイプです。4WS(四輪操舵)は小回りが利きやすく、整備されていない凸凹の土地でも対応できます。
6つのタイヤが付いた6WD(六輪駆動)は、傾斜地でも比較的安定して走行ができるという特徴があります。地面の状態や作物の植え付け方法に合わせて、走行しやすい形式を選ぶようにしましょう。
歩行型やけん引式のスピードスプレーヤも
自走式が主流ではありますが、歩行型やけん引式のスピードスプレーヤもないわけではありません。歩行型でクローラーで走行するタイプは、比較的小型の果樹園や傾斜している土地でも安定して使用することができます。
また、30年ほど前まではけん引式が主流であったことから、中古販売店ではけん引式の取り扱いが見られる場合もあります。圃場が広く旋回するのに問題がなければ、けん引式を選ぶのもよいでしょう。
散布に十分なタンク容量かチェック
スピードスプレーヤに付いているタンクの容量は300~1,000リットルと幅があり、大きくなるほど価格も高くなるため、適切な容量のタンクを選びたいところです。
一般的に、手で農薬を散布するのと同程度の量を撒くには10aあたり400リットル程度の農薬が必要とされます。植え付け面積に合わせて1回の散布に必要な農薬の量を算出したうえで、何度も補充する必要がないサイズのタンクを選ぶようにしましょう。
各主要メーカーのスピードスプレーヤの特徴
車体や走行方式、タンク容量といった基本的な仕様のほかにも、メーカーごとに相違工夫が施されたスピードスプレーヤが販売されています。メーカーの特徴を知って、製品選びの参考にしましょう。
防除機といえば「丸山製作所」
ポンプとエンジンの製造開発ノウハウに定評がある丸山製作所は、噴霧器などの防除機で国内で多くのシェアを誇ります。「ステレオスプレーヤ」として販売されているスピードスプレーヤも人気商品のひとつです。
こだわっているのは、使いやすさと安全性です。運転席は広く、車体はできる限りコンパクトにすることで無駄のない機動力を見せます。4WD、4WS、6WDの走行方式と、タンク容量も500~1,000リットルと幅広いラインナップも魅力です。
新しい驚きを提供し続ける「やまびこ(共立)」
小型屋外作業機械で有名なやまびこは、株式会社共立と新ダイワ工業株式会社が経営統合により設立した会社です。農業用管理機械は今でも共立(KYORITZ)ブランドとして販売されています。
積極的に新規開発を進めている共立は、1994年には誘導ケーブル式無人タイプを、2015年には世界初の電動式を発売しています。一般的なモデルも500L、600L、1000L、歩行型と4種類展開し、利用者の声に耳を傾け改良を続けています。
スピードスプレーヤ専門の「ショーシン」
ショーシンはスピードスプレーヤを専門に扱う数少ないメーカーで、もともと輸入製品のみだったスピードスプレーヤの国産化に取り組んだ企業です。製品ラインナップも幅広く、スピードスプレーヤを探すなら知っておくべきメーカーのひとつです。
立ち木、棚園、わい化園とそれぞれの環境に合った製品があるほか、大風量でありながら静音性を保った「静音湾曲ファン」は、ショーシンならではの特徴的な機能です。
公道の走行に必要な免許【小型特殊・大型特殊】
スピードスプレーヤをはじめとした自走式の農耕用作業車は公道を走行することができますが、普通免許でよい場合と、そうでない場合があります。道路交通法における必要な免許の条件は次の通りです。
● 小型特殊免許または普通免許:長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下、最高速度が15km/h以下の条件をすべて満たす場合
● 大型特殊免許:小型特殊免許の条件を一つでも超える場合
駐車場から圃場まで少しでも公道を走行する場合は運転免許が必要です。入手しようとしているスピードスプレーヤの仕様を確認して、必要な免許を確認しましょう。
作業中の事故に注意
農場など私有地で運転するだけであれば免許は不要ですが、それでも運転時には注意が必要です。衝突や転倒・転落といった事故を防ぐために、次のことに気を付けましょう。
● 張り出した枝や障害物は事前に撤去する。
● 低い枝や支柱など、撤去できない障害物には目印をつける。
● 散布状態に気を取られてわき見運転にならないよう、前方に注意する。
● 土手や段差、斜面では特にゆっくり運転する。
● 下り坂などスピードが出ている状態で急ハンドルを切らない。
他にも確実な操作や機材の点検など、基本を守ることが重要です。
スピードスプレーヤの新車・中古価格の目安
いよいよ購入となったときに気になるのが価格です。先に紹介した3メーカーの場合、乗用型の価格は400万~1200万とサイズや仕様によって幅があります。中古の場合も幅がありますが、300万円程度のものや100万円を切るものも見つかります。
安い買い物ではありませんので、新品・中古のどちらも視野に入れて最もコストパフォーマンスの良い製品を選びましょう。
スピードスプレーヤの寿命
製品の寿命は、特に中古購入の際には知っておきたいものです。農業用設備の法定耐用年数は7年ですが、これはあくまで減価償却の計算を行うために用いる資産価値が無くなるまでの年数です。
製品の寿命は、使い方やメンテナンス状況によって大きく変わります。中古で購入するときは、数字だけで判断するのではなく、適切なメンテナンスを行っている販売店で相談しましょう。
スピードスプレーヤをお得に購入する方法
少しでもコストを抑えるなら中古製品を購入するのはもちろん、不要になった農機具を買取に出して購入資金にするという方法があります。
倉庫に眠っている使えない農機具や、修理やメンテナンスをすればまだまだ使えるものも対象です。壊れているからといって処分する前に、まずは中古農機具の買取店に相談してみましょう。
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株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。