稲刈りは、地域や品種、天候によって収穫時期が異なります。収穫する最適なタイミングを逃してしまうと、品質低下や収量が減ってしまう可能性があります。収穫時期の判断材料はいくつかあり、何を重視するかでもタイミングが異なるでしょう。
本記事では、稲刈りの時期を決める際のポイントと、効率的に稲刈りをしていくための農機具を紹介します。
そのほか、農家の年間スケジュールに関しては以下の記事で解説しています。
【畑作・稲作】農家の年間スケジュールと仕事内容を紹介!便利な農機具も
稲刈りの実行日を決める際の優先ポイント
稲刈りの実行日を決める際は、あらかじめ自分の優先したいポイントを決めておくのが重要です。どの要素を重要視するかで稲刈りの実行日が変わります。
品質・収量を重視する
品質・収量を重視する場合は、一般的な最適期よりも少しだけ遅めに収穫すると良いでしょう。一般的な最適期は、稲の黄化割合85〜90%です。品質を重視する場合は、黄化割合が90%以上になるのが理想です。黄化とは、籾が完熟状態になり、黄色く変化することです。
しかし、この収穫時期が遅れると、逆に品質が低下するので日程調整はシビアです。例えば、黄化率100%になると、胴割れといった品質低下が起こっている可能性があります。一方で黄化率90%だと、残りの10%は収穫できません。
品質を落とさず、収量をできるだけ欲しい場合は、黄化率90%〜95%を目指しましょう。
天候事情を重視する
悪天候が続いたり、台風によって甚大な被害がでる年は、米の品質低下はもちろんですが、収穫にも大きく影響します。収穫間近なのに、台風で被害が出ると、収穫できない可能性もあります。
稲刈り間近で台風が来てしまう場合は、手塩にかけて育ててきた米を少しでも収穫しておきたいところです。天候による判断は理想のタイミングから強制的に外れてしまい決めるのが難しいですが、台風が襲来する前に、少しでも多くの稲を収穫することも大切なことです。
人の都合を重視する
兼業農家の場合は、仕事が休みの時にしか稲刈りはできません。さらに、コンバインなどの農機具は高価です。購入できない場合は、シェアするかレンタルをして順番待ちで予定を組まねばいけません。
また、自分の田んぼが他の人が所有する農地を横切るなど、立地条件が悪い場合は、他の人の日程を伺い、日程調整していく必要があります。
人の都合で刈取りを決める場合は、あらかじめ刈り取り予定の候補日を複数選んでおくと良いでしょう。
稲の刈りどきは?見極めのポイント
稲の刈り取り時期は、ある程度複合的に考える必要があります。実際に稲刈り実行日を決めるには、天候事情や、品質・収量を優先する考え方にも左右されます。また、住んでいる地域の特性や、品種などによっても異なるでしょう。
それぞれの考え方や、事情は異なりますが、まずは基本となる稲の刈りどきを知るための、3つの見極めポイントをまとめました。
出穂からの日数でみる(40〜50日程度)
刈り取りの目安は、出穂から40〜50日です。しかし、刈り取りは、東北地方・北海道と、九州・沖縄では、日照時間や、気温の高さによって大きく異なります。また、品種によっても異なることにも留意が必要です。
籾の色でみる(8割以上が黄色になる)
籾の色が、8割以上黄色く過熟した色(黄化)に変化するといよいよ刈り取りできる状態です。この黄化率が、90%以上なら収穫量も多く、品質が良い米になります。
「籾の黄化」を基準に判断する方法は、気候の影響を受けにくく精度が高いと言われています。籾の黄化率が低いと収穫量が少なくなり、黄化率が高すぎると品質低下になる可能性があるので、その年の最適なタイミングを見極める必要があります。
籾の色は、全体をみて判断しても、平均的なひとつの稲を基準にしても、何ヵ所かから選んだ稲で判断しても良いでしょう。
出穂後の積算温度でみる(1000~1250℃)
出穂期からの積算温度は良く利用される判断基準です。積算温度は、1日の平均気温を加算した値のことをいいます。
例えば、出穂後の平均気温が25℃の日が10日間で250℃、その後20℃の日が30日続いたら、合計1,100℃になります。この場合、出穂後40日、積算温度は1,100℃となり、刈り取り時期の目安になります。
ただし、この方法は品種によっても異なるので、ひとつの目安として捉えましょう。
このほかにも、籾の水分率を測ることで刈取時期の見極め精度を上げられます。籾の水分量は、30%以下になると玄米水分計で計測可能で、水分率の目安は25%です。いくつかの見極めポイントを合わせ、総合的に最適な刈り取り時期を判断しましょう。
稲刈りが早すぎる/遅すぎると何が起こる?
早すぎる場合:未熟米が増える
稲刈りが早すぎた場合は、単純に収穫量が減ります。黄化率80%だった場合は、残りの20%は未熟米となります。
遅すぎる場合:胴割れ米が増える
稲刈りが遅すぎた場合は、胴割れ米などの品質低下につながります。胴割れ米は、米粒の表面・内部に亀裂が入った状態のことをいいます。
胴割れ米になると、見た目が悪いだけでなく食味も低下してしまいます。また、脱穀などで機械に余計な負担をかけてしまいます。
先端技術で稲刈り時期を予測する方法も
農場が広い場合は、先端技術を活用することで野菜や稲の発育状況を確認でき、データ化して管理がしやすくなります。近年では産業用ドローンや衛星、AIなどを利用して稲刈りの予測が可能です。
特に産業用のドローンは、空からの空撮で農地管理できるだけでなく、薬剤散布など幅広く農作業に活用できます。長年培った農業の経験値や感覚と、先端技術を使い作物の管理・データ解析で稲の刈り取り時期の判断が可能です。
稲刈りを効率的にする機械
稲刈りは農機具を使うことで大幅に効率化できます。活用できる農機具を3つ紹介します。
なお、稲刈りができる機械とその違いについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
稲刈り機とは?コンバインとバインダーの違い、選び方から価格相場まで紹介!
コンバイン
コンバインは、稲や麦などの刈り取り・脱穀・選別することが可能で、稲刈り時期に大活躍する農機具です。効率的に作業したい農場では、すぐに導入したいコンバインですが、機能が多い分費用も高額です。
最近では、収量センサーで稲刈りしながら、収量と水分量を計測したり、脱穀や選別作業を制御する機能などを搭載して、作業効率アップするコンバインもあります。これからスマート農業を目指すなら、ぜひ欲しい1台です。
ハーベスター
ハーベスターは、稲や麦などの脱穀をする農機具です。バインダーなどで刈り取った稲を移動しながら脱穀していきます。ハーベスターは、けん引式の大型のハーベスターから、自走式の小型ハーベスターもあります。
コンバインは、大型で1台で刈り取り・脱穀・選別を行えますが、その分費用も高額です。小型ハーベスターは、脱穀のみですが、小回りがきき、費用を抑えることが可能です。
バインダー
バインダーは、稲や麦などの刈り取りをする農機具です。バインダーは小型なので扱いが容易で、価格も安いので比較的小規模な農家には向いているでしょう。また、地形によっては大型の農機具が搬入できない農地、斜面などでもバインダーは活躍できます。
バインダーは、ひとつの機能しかないですが、その分構造がシンプルなので、メンテナンスをしっかり行えば、長期間使用が期待できるでしょう。
稲刈り用の農機具購入・買い替えはあぐり家へ
稲刈りは時期(タイミング)を見定めるのが難しく、間違えると品質や収量にも大きくかかわるため判断は責任重大です。
稲刈りの時期を見定める際には、その時優先すべき事項を考え、最適な行動を行えるようにしておきましょう。
稲刈りを効率的に済ませることも、品質や収量管理には重要です。農機具ランドあぐり家では、コンバインやハーベスターをはじめ、農機具全般を取り扱っています。
新車で購入するには高価なため、まずは中古で購入するのも良い方法です。気になる農機具をまずはチェックしてみてください。
あぐり家の【中古農機具】オンラインショップで見る
株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。