農業人口の高齢化とともに問題に上がるのが耕作放棄地です。その耕作放棄地とは具体的にどのような農地で、また耕作放棄地とならないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
この記事では、耕作放棄地についての基本的な知識とともに、農地活用のアイディアや農地の売却方法、また使わなくなった農機具の処分方法について紹介します。
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耕作放棄地とは?
耕作放棄地とは、主に「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、また数年の間に再び栽培する予定のない土地」のことを言います。5年に1度調査が行われる農林業センサスで定義されている用語です。
農地は放置していると様々な問題の原因となりえ、またすぐに対応しないと復旧が難しくもあるため、農業課題として大きく取り上げられています。耕作放棄地の対策としても補助金や施策などが実施されていますが、まだ解消したとは言えない状況です。
耕作放棄地と似た言葉に、「遊休農地」や「荒廃農地」があります。耕作放棄地との違いについても知っておくと良いでしょう。
遊休農地とは
遊休農地は、法律で定義されている用語で、状況としては耕作放棄地と同じく「今使っておらず今後も使う予定がない、あるいは利用度合いが低すぎる」農地のことを言います。
厳密には、以下の条件を満たす農地が遊休農地とされます。
現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地
その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる農地
遊休農地も、農地の有効活用のためには対策を講じて行かなければならないとされています。少しでも利用している農地を含むため耕作放棄地とは違いますが、農業の課題とされている点では同じです。
荒廃農地とは
荒廃農地は、農林業センサスで定義される耕作放棄地と異なり、市町村や農業委員会による現地調査の上で判断されるものです。
荒廃農地とされる農地は、以下の条件を満たします。
● 現在耕作されていない
● 荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能といえる状態にある
たとえば森林・原野化してしまったなど、すぐに農地として使うこともできず、相当な手をかけなくては再び農地として使うことができない農地が荒廃農地と言えます。
耕作放棄地の現状と対応策
耕作放棄地は現状、具体的にどういう状況なのでしょうか? どのような問題点があるのか、そしてどのような対策が取られているのかを見ていきましょう。
耕作放棄地ができる原因
耕作放棄地になってしまう理由としては、まず農業界全体で起こっている高齢化が挙げられます。高齢になるにつれ生じる体力の低下や持病により、管理できる農地が狭まってしまう農家が増えています。
高齢化と重なる問題として、後継者の不足もあります。子どもや親族に引き継げず、管理できる農地が狭まったまま持て余してしまうのです。
一方、資材などの高騰や収穫量の減少などが起こり、農作物の収益が低くなることも原因になります。収益が低くなると作付けの意欲が低下し、そのまま耕作放棄地に転じてしまう例があるのです。
シカやイノシシなどの害獣によって農地が荒らされ、栽培が困難になってしまった結果、耕作放棄地へと進行していく場合もあります。害獣被害は作物の食い荒らし1回で済むわけではなく、さらに土壌が荒れて農地として整えるためにも労力がかかります。
なぜ耕作放棄地が問題なのか
耕作放棄地は、単に農地が使われなくなるというわけではありません。具体的に耕作放棄地によって起こる問題を紹介します。
①食料自給率と農業効率の低下
安全保障のためも含め、限りある農地をできるだけ減らさず、食料自給率を保つことは重要なことです。
また、農地としての利用が難しい山間部や中山間地域が多い日本では、農業効率を上げていくことも今後重要な課題です。耕作放棄地があると農地の集約化が制限されてしまうことが問題と言えます。
②農地としての復旧が難しくなる
耕作放棄地となると、作物の栽培をしなくなって放置してしまい、農地として再度利用しようと思った際に労力・費用などのコストがかかります。また、放置すればするほど土壌の品質が下がるだけでなく、森林化してしまうリスクや害獣発生のリスクなども起こりえます。
森林化や害獣発生は、その農地だけの問題では収まらず、近隣地域で対応しなくてはならないほどの大きな問題になります。
耕作放棄地やうまく使えていない農地の活用アイディア
耕作放棄地、あるいは作物を栽培しない農地が出てきそうなら、農地の活用アイディアを試してみてはいかがでしょうか?代表的なものを紹介します。
農地を貸す(農地バンク)
農地中間管理機構、いわゆる農地バンクでは、遊休農地やその他使用予定のない農地などの貸し借りを仲介しています。
農地を有効活用する助けとなり、また貸した場合賃料も発生するため、まずは検討してほしい制度です。
農地バンクについては以下の記事も参考にしてください。
農地バンクとは?仕組みから活用方法まで紹介
作業負担を下げる(農機具、栽培作物の変更)
手間のかかる作物から、比較的管理しやすい作物に変えることも有効です。省力化のために新たに農機具を導入するのも良いでしょう。作業コストを下げ、それでいて最大限の収益化を目指すことができます。
農作物を変更するには、土壌の条件に合うかどうかも重要な条件のため、地域の農家や農業委員会などに相談するのもひとつの手です。
第三の収入源へ
収穫体験や農業体験を行うイベントを行って新たな収入源とするのもおすすめです。地域の農業活性化のための交流や食育を行うなど、農地で単に栽培する以上のこともできます。
ソーラーシステムの導入を行って、電力での収入を目指しても良いでしょう。
耕作放棄地を売却したい場合はどうすれば?
耕作放棄地を売却したい場合は、方法は二つあります。
まずは農地のまま売却する方法、そして宅地に転用して売却する方法です。農地転用するには条件が付きますが、宅地にしたほうが買い手が見つかりやすくなる場合があります。
農地の売却に関しては、農業委員会が管轄しているため、まずは売却の相談に訪れるのが良いでしょう。
農地の売却については、以下の記事も参考にしてください。
農地を売りたい!売却できる条件と流れを知って対策しよう
活用できない農機具の処分・売却はあぐり家に相談を
農業の縮小や体力的・年齢的な要因などで使えない農地が出てきてしまうことはあります。そんなときは、売却や放置ではなく、農地バンクなどの制度の活用や、補助金を使っての挽回策を試してみるのもよいでしょう。
使用する農地が少なくなる、あるいは農地の処分を行うのであれば、使用しない農機具も出てくる場合があります。使用する農機具とそうでない農機具の整理を行い、使わない農機具はあまり寝かせずに買取査定に出すのがおすすめです。
農機具は年数や使用状況、また現状の状態に応じて買取価格が変化するものです。使用しないと分かった時点で売ってしまうことで、速やかな現金化ができるだけでなく、できるだけ価値を損なわないで売ることができます。
農機具専門の買取・販売を行っているあぐり家では、現役の農機具だけでなく、壊れたものや年代物の買取査定も行っています。
電話やLINE、ウェブサイトからの問い合わせフォームで買取依頼を受け付けているので、まずは気軽な相談からご連絡ください。
株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。