環境問題やエコ、省エネが取り沙汰される昨今ですが、農業においても「循環型農業」という言葉が聞かれるようになりました。
この記事では、循環型農業とは何か、そして導入する際のメリット・デメリットを紹介します。どうしたら循環型農業を実践していけるのかも開設するので、ぜひ参考にしてください。
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循環型農業とは
循環型農業とは、従来廃棄されてきたものを再活用し、資源を無駄にせず循環させる農業の仕組みのことです。例えば廃棄される米ぬか、家畜の糞など、効率化の面や連携不足で廃棄されてきていたものを活用し、有機農法に取り入れるなどがあります。
SDGsや持続可能社会が注目されるにあたって、農業でもできるだけロスを少なく、限りある資源を活用できる仕組みにして環境負荷を軽くしていくのがねらいです。
農林水産省でも、持続可能な農業として「環境保全型農業」を推し進めています。環境保全型農業とは、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」と定義されています。
環境保全型農業の推進のために、農林水産省は統計データや調査情報の公開や、コンクール、環境保全型農業直接支払交付金などを行っています。
なお、環境保全型農業直接支払交付金とは、地球温暖化防止や生物多様性保全を目的に行われる制度です。農業生産活動を条件を満たす農業者に対して交付金が支払われます。
参照:農林水産省|環境保全型農業関連情報
農業の環境リスク
農業はそれほど環境に対して責任があるのでしょうか?農業は自然と切っても切り離せないほど近くにあるものです。
端的にいえば、効率的に農作物を作ろうとして、結果的に自然に悪影響が及んでしまっているのがいわゆる環境リスクといえるでしょう。具体的には、以下のようなものがあります。
● 科学的に作った肥料や除草剤などの利用によって起こる周辺地域の土壌・水質汚染
● 化学肥料や農薬への依存
● ガソリンや電力の使用と排気ガスの増加
● 家畜の糞尿による周辺環境への悪影響(悪臭や有毒ガス、水質汚濁)
終了したエコファーマー制度とその代替制度
これまで、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」によって定められた、持続可能な農業を推進するためにエコファーマー制度というものがありました。
しかし現在は、2022年7月1日に施行された「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」、いわゆる「みどりの食料システム法によって廃止され、新規申し込みや更新ができなくなっています。
その代わりにみどりの食料システム法に基づいて、「環境負荷低減事業活動実施計画の認定制度」の申請受付が各都道府県で始まっています。認定を受けるためには、都道府県が作成した基本計画に基づいて申請を行う必要があります。
循環型農業の事例とメリット・デメリット
それでは、循環型農業を実践しようと思ったらどんな方法があるでしょうか?具体的にメリット・デメリットも踏まえつつ見ていきましょう。
以下に挙げるもののほか、森林農法(アグロフォレストリー)やアクアポニックス(水耕農業×水産養殖)なども実施されています。
アイガモ農法
アイガモ農法は、田んぼの除草や施肥、防虫など多くの効果が見込めます。アイガモを田に放つことで、無農薬あるいは減農薬で米を育てていくことができる例です。アイガモは食肉として最終的に処理でき、複合農業としても扱われます。
農薬のコストが浮くのと無農薬として売り出しうるという点から、多くのメリットがあるといえます。
一方で、アイガモの管理が必要なほか、アイガモ農法で活躍するのはヒナだけのため、毎年ヒナを仕入れる必要があります。
また、田んぼの雑草だけではエサが足りないため別途で与えなければならない点、カモたちが逃げないよう柵を設置しなくてはならない点など、手間もお金もかかることには留意が必要です。
家畜の糞を堆肥化
家畜、例えば牛や馬、豚などの糞を発酵させて堆肥にした後、田畑に施肥していく方法があります。自分の所有する家畜でそのサイクルを行うことで、家畜が食べた牧草や農作物(穀物)を堆肥としてまた還元していくことで、持続可能な循環型農業を行えます。
自分の畑で完結しなくとも、地域の畜産農家と連携して行う例もあります。持続可能な農業を地域ぐるみで行っているとして、ブランド化や地域活性化もねらうことができるでしょう。
ただしデメリットとして、糞からの完全な(完熟した)堆肥化には手間と時間がかかります。長期的な目線で計画していかなければなりません。さらに、栄養素に偏りが出てしまい土壌に悪影響を与えないよう、土壌診断を行ったり施肥のバランスをとったりする必要があります。
環境保全型農業直接支払交付金の取組事例から見る循環型農業
循環型農業として、上記のほかにどんな取り組みが実際に行われているのか、「環境保全型農業直接支払交付金」の取組事例から具体的に見ていきましょう。
この交付金は、化学肥料や農薬を減らし温暖化防止や生物多様性に貢献するための営農活動に対して補助金を交付するものです。
実際の取組事例として、いくつかピックアップしたものを紹介します。
● カメムシの発生予察と除草で発生予防と防除に成功し、コスト削減及び環境負荷の低減につながった事例
● 馬糞堆肥の利用や講習会への参加、土壌診断による土づくりなどで食味の良いブランド米を販売し、食育や地域発展に貢献した事例
● ニンジンに品目を絞り、生産・出荷ラインの機械化により、農産物の生産を拡大した事例
● 自家製のぼかし肥料を使用した病害虫に負けない茶園づくりにより、収量の維持と高値の販売が可能になった事例
● 町ぐるみでの自然を生かした農業として、根菜類(ごぼう、人参)を中心に野菜を輪作で栽培し、また他の農業者への普及活動によって新規就農者が増えた事例
参考:農林水産省|平成28年 環境保全型農業直接支払交付金取組事例
スマート農業でおこなう循環型農業
循環型農業は手間がかかりがちですが、農機具や以下のようなAI・IT連携のシステムを導入することで効率化を進めることができます。
AIによる自動かん水・施肥システム
水田のかん水処理は確認・調整の手間がかかりますが、センサーで水の蒸散量を推定して、必要な量だけかん水するシステムがあります。
省力化や自動化で手間が大幅に減らせるだけでなく、きめ細やかな水と肥料の管理によって作物の品質向上もねらえます。
設備内温度の適正化
ビニールハウスなどの施設は温度管理が重要ですが、この管理を自動化することができます。データ収集したAIによって適正な温度を算出・調整していくものです。
循環型農業に貢献できる農機具の購入もあぐり家へ
循環型農業を行うには、先端技術によるスマート農業のための農機具や設備、専門知識が役に立ちます。たとえば従来のような手間と時間のかかる有機農法を行うのではなく、技術を使った効率的かつ省力的な循環可能な農業を行うことができるでしょう。
そういった循環型農業を行うのに適した農機具や設備は、すべて新品で購入するとなるとかなりの金額になってしまいます。できるだけ費用を抑えつつ循環型農業を実現するために、中古の農機具を活用するのがおすすめです。
農機具専門の買取・販売を行っているあぐり家では、IT連携やスマート農業に使える農機具のほか、循環型農業を行うのに適した農機具も多数販売しています。
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株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。