ロボットや情報通信といったデジタルテクノロジーを活用して、農作業の効率化が図れるのがスマート農業です。便利になることは分かりつつも、従来のやり方をどう変えることができるのか、どんなメリットがあるかはイメージしづらい人もいるでしょう。
この記事ではスマート農業のメリット・デメリットだけでなく、具体的な事例を紹介します。自分がどうスマート農業を取り入れていけるか、参考にしてみてください。
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まずはスマート農業に取り組む目的を整理しよう
スマート農業に取り組むことには多くのメリットがありますが、決して手軽に始められるものではありません。また、これまでの農業のやり方を少なからず変えることになるため、なんとなく始めて後悔することのないよう、まずはスマート農業に取り組む目的を整理することが重要です。
スマート農業を始める目的には、例えば次のようなものがあります。
● 売上規模を拡大して利益を上げたい
● 時代に適応しつつ後継者に技術を継承したい
● 効率化して農作業の労力を軽減したい
自分なりの目的を定めることは、スマート農業のメリット・デメリットをどう捉えるか参考になります。
スマート農業のメリット
スマート農業を始める目的が整理できたら、スマート農業のメリットとデメリットを詳しく確認していきましょう。まずは、4つのメリットから紹介します。
農作業の省力化でコストが削減できる
スマート農業の導入は、作業の省力化につながります。例えば、人が行っていた作業をロボットが代わりに行うことで、複数の人数が必要だった作業が1人でできるようになったり、完全に自動化すれば無人で作業が進められたりします。
省力化は単純に作業が楽になるというだけではありません。従業員を多く雇用する農家はもちろん、個人経営の農家でも人件費削減につながります。
このメリットは、人手が不足している農家や、作業者が高齢になってかけられる労力が減少してきている場合に役立ちます。
生産の課題が可視化され改善が可能に
旧来の農作業では、農作物の育成具合や天候などの自然環境を、経験則や確率で判断するしか方法がありませんでした。これらのデータが集約され、さらに可視化されることで、農作物の育成における現状の問題点が一目瞭然になります。
データの集積によって、例えば作物が病気になる前にそのリスクを把握することや、天候の悪化へのいち早い対応が可能になります。結果として農作物へのダメージが最小限に抑えられ、不作のリスクを回避でき、収穫量の拡大につながることが期待されています。
技術のデータ化で作業が簡単に
これまで人の経験と勘で継承されてきた、ベストな土質や収穫時期といった農業にまつわる技術もデータ化されることで、農作業の参入ハードルが大幅に下がることも期待できます。
知識不足であっても農作業に容易に取り組めるようになるだけではなく、先人の知恵が効率的に蓄積され、さらなる改善が可能になります。労力を別の部分に割けるようになり、新しいアイデアを生み出す余地も出てくるでしょう。
環境への負荷軽減、安全性の向上
作業の効率化以外にも、環境面でスマート農業は効果を発揮できます。
データを活用して適切な農薬の量を算出することも、自動走行できるロボットやドローンを使って無駄のない散布をすることもできます。農薬の使用量を大幅に減らすことで、結果的に環境や健康保持につながるのです。
農薬は扱い方によっては散布者に中毒を引き起こす場合もあります。ロボットの活用で、その危険を回避することも可能です。ほかにも、トラクターの運転など事故と隣り合わせだった農作業をロボットに任せることで、事故のリスクが減り安全性の向上につながります。
スマート農業のデメリット・課題
これまでの農作業では難しかった多くの課題解決の可能性がスマート農業にはありますが、一方でデメリットもあります。課題点を正しく理解し、失敗や後悔のないようにしましょう。
導入コストが高額。抑えるための工夫が必要
コスト削減や収益拡大につながるとはいえ、基本的に初期コストは高額です。従来の農機具とは違って、本体価格に加えてシステムなどの費用も必要になるため、当初の想定よりも高額の費用が必要になることも少なくありません。
導入コストは初期投資です。どの程度の収益拡大を見込めるのかを考慮したうえで、かけられるコストを算出するようにしましょう。助成金など初期費用を抑えるための方法を調べることも重要です。
ITスキルの習得や技術者のサポートが必要
ロボットを操作したり、設定したりするだけで農作業が自動化できるスマート農業は、作業の負担は大きく軽減される反面、テクノロジーに対するある程度の知識が必要になります。
スマート農業に使われるツールは、パソコンなどのデジタル機器の操作に慣れていない人には操作が難しい場合があり、スキルの習得か、専門の技術者のサポートが不可欠です。
また、スマート農業の技術は日々進化しているため、最新情報を収集し続ける必要もあります。
機器同士の互換性が低い
スマート農業の導入が拡大してきたのはごく最近のため、各企業の技術やサービスもまだまだ発展途上にあります。そのため、機器の仕様が業界内で統一されているわけではなく、互換性が低いのが実情です。
機能を充実させるためには機器やシステムの連携をする必要が少なからずありますが、互換性がない場合は新たな開発や調整が必要になり、その度にコストがかかってしまいます。
導入するシステムに求める機能をあらかじめ決めておくことで、後からコストが膨らんでいくことを防ぐことができます。また、今後はスマート農業を導入する農家の事例が集まることで、徐々に互換性のあるシステムが増えていくでしょう。
通信環境の整備が十分ではない場合も
ロボットを遠隔操作したり、作物の全体状況をリアルタイムで把握したりするためには、高速Wi-Fiなどの通信技術を活用する必要があります。しかし、高齢化が進む農村では光ファイバーの整備が十分でない場所もあり、それがスマート農業の導入の障壁となっています。
農村の通信環境を整備するために、農林水産省では令和4年に「農業農村における情報通信環境整備のガイドライン」が策定されました。このことからも、農村で情報通信環境を整備することがいかに重要であるかがうかがえます。
参照:農林水産省「農業農村における情報通信環境整備の推進について」
スマート農業の種類と事例
メリットとデメリットが理解できたところで、スマート農業の具体的な種類と事例を紹介します。事例を知ることで漠然としたイメージが鮮明になり、自分ならどのような技術を導入するかを考えやすくなるでしょう。
参照:農林水産省「農業新技術活用事例(令和3年度調査)」
遠隔で栽培状況を可視化する「ほ場管理システム」
ほ場管理システムとは、農業に関わる情報を一元管理するシステムです。土壌の状態や肥料や農薬の量、収穫量や作物の品質といったデータをタブレットなどでひと目で確認できます。
青森県の個人農家では、正確なほ場面積の把握や作業履歴の管理のために、ほ場管理システムを導入しました。作成されたマップ上に品目や品種などを色分けし、作付計画や履歴を管理します。与える肥料の管理や品目ごとの収穫量予測・生産コストといった情報の正確な把握が可能となり、効率的な経営改善につながりました。
「自動走行」による農作業の省力・効率化
トラクターの運転のように、技術が必要とされ事故の危険性もある農作業をロボットに任せることで、耕運などの重労働を大幅に削減することができるようになります。さらに、人が操作するよりも精密で効率的な運行が可能になるという利点もあります。
埼玉県の畑作企業では、トラクターで行う耕運や播種は熟練者でなければできないという課題があり、全国で初めてロボットトラクターを導入しました。初心者でもベテラン社員と同じレベルでの作業が可能となり、一人ひとりの作業の成熟化に取り組むことができました。
稲の生育を良好に保つ「水管理システム」
稲作にとって重要なのが水の管理です。生育の段階や環境に合わせて水位や水温を細かくケアすることで品質の高い米の収穫が可能となります。細かい管理には労力がかかりますが、それを遠隔で確認したり、自動化したりできる便利なシステムです。
秋田県の稲作企業では、周辺農家の離農に伴い農地が増えたなかで作物の多様化に取り組んでいましたが、⽔管理が複雑になりかかる労力が膨大になってきました。そこで、ほ場ごとの水位や⽔温、ゲートの開閉情報をタブレットで管理できるシステムなどを導入しました。
複数の農地の情報をまとめて閲覧できるだけではなく、設定高を超える水位に達したときの排水を自動で行うことで、大雨時などの排水管理を効率的に行えるようになっています。
新しい手・目として活用する「ドローン」
スマート農業の代表的な道具のひとつとして挙げられるのがドローンです。ラジコンのように自由に飛ぶドローンを活用して、農作業の効率化を図れます。
活用方法は大きく分けて2つあり、1つは農薬・肥料の散布です。人の手よりも上空から散布することで広範囲に、適切な量の農薬や肥料を撒くことができます。そして2つめはセンシングです。ドローンに取り付けられたカメラで、生育ムラや傾倒状況などの情報をいち早くキャッチできます。
北海道の小麦農家では、ほ場内の⽣育ムラ対策のためにセンシングのデータを活用して可変施肥を実施しました。育成状況に合わせてセンシングを継続しながら適切に肥料を散布することで、育成ムラを改善しています。
「環境制御」でハウス栽培を効率化
温度や湿度、光や土壌成分といった作物生育の環境全般を調整することを環境制御と呼びます。主にハウス栽培で活用される手法で、作物の生育をコントロールできます。
各種センサーをハウスに取り付けることで遠隔でも環境のモニタリングが可能となります。状況に合わせてハウスの天窓の開閉や冷暖房設備を自動で操作できるものもあります。
山口県のいちご農家では、ハウス内の環境モニタリングと既存の暖房機・循環扇などを接続するシステムを導入しました。独立していた機器が連動することで、いちご栽培に最適な環境を維持できています。
農林水産省のスマート農業への取り組み
先に紹介した情報通信環境の整備のほかにも、以下のようなスマート農業の導入促進が行われています。
参照:農林水産省「スマート農業」
● スマート農業実証プロジェクト:先端技術を実際に導入して2年間技術実証を行う
● 農業データ連携基盤(WAGRI):スマート農業に取り組むためのデータ連携・共有等のプラットフォーム
● 農業支援サービス:先端技術による作業代行やシェアリング・リースなどの促進
● 農業用ドローンの普及拡大:農業用ドローンの普及拡大のために官民が連携した取り組み
● 教育機関向けコンテンツ:農業大学校などでスマート農業を学ぶ機会を充実させるためのコンテンツ提供
農業の担い手を増やし、生産性を向上させるためにスマート農業の普及が積極的に行われているので、上手に活用したいところです。補助金が支給される導入支援事業も見られるため、公募が行われていないかチェックしましょう。
古い農機具をスマート農業の資金源にする方法
農林水産省の支援事業を取り入れたとしても、導入コストの高さはスマート農業を始めるときの大きな障壁となります。初期コストをなるべく抑えるために、これまで農作業に使っていた農機具を買取に出すという方法があります。
日本製の農機具は高品質のため、古いものでもまだまだ使えるものが少なくありません。壊れているものでも、適した中古買取・販売店に持ち込めば良い価格で買い取ってもらえます。
最近まで使っていた農機具はもちろん、壊れて使わなくなり処分に困っていた農機具も、スマート農業の導入資金として役立つかもしれません。
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株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。