トラクターの保険、どうする?種類と加入方法を徹底解説

トラクター
保険の文字と電卓

トラクターの購入や買い替えをするにあたって、保険に加入する必要があるのか、また、どんな保険に入っておくべきなのかをご存じですか?

通常の自動車とは異なるトラクターの保険について、最低限知っておくべき基本から、入っておくと便利な保険とその加入方法まで、種類ごとに分かりやすく解説します。

思わぬ事故にあらかじめ備えておくことで、トラクターを使った農作業への不安を少しでも払拭しましょう。

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トラクターの保険加入は必須?任意?

農耕車は自賠責保険の加入対象外

自動車事故の被害者救済を目的とした自賠責保険は、最高速度が35km/h以上のすべての自動車に加入することが義務付けられています。トラクターをはじめとした小型特殊自動車に該当する農耕車は、最高速度が15km/h以下であれば自賠責保険の加入対象外です。

農業に使用する車両であっても、最高速度が時速35km以上の大型特殊自動車で公道を走行する場合は自賠責保険への加入が必要となりますので、注意しましょう。

 

万が一の事故に備えて任意保険に加入しよう

自賠責保険の加入対象外となっているトラクターに保険加入の義務はありませんが、だからといって事故が起きる可能性はゼロではありません。

たとえばトラクターで人身事故を起こしてしまったとき、被害者への賠償金や治療費が自分では支払いできないほど高額になってしまうことも。万が一の事態に備えて、任意保険に加入することをおすすめします。

トラクターで保険が必要になる事例

トラクターで考えられる事故は、一般的な自動車よりも多岐にわたります。保険が必要になる主な事例を紹介します。

農作業中の事故による怪我

交通量の多い公道を走ることはほとんどないトラクターは、他の車との接触事故が起きる頻度は高くありません。しかし、運転する本人がトラクターから落下する、横転したトラクターの下敷きになる、回転部に巻き込まれるといった事故は実際に起こっています。

事故で怪我をしたり、亡くなったりしたことで働けなくなってしまう場合に備えて保険に加入しておくと、もしものときに家族の生活を守ることができます。

 

トラクターの盗難

意外と多く起こっているのが、トラクターの盗難。トラクターのような大きな農機具は決して安価ではないため、盗難されて新たに購入が必要になると、想定外の大きな出費となります。

農地に置いたままにしない、エンジンキーを抜く、倉庫に鍵をかけるといった対策を講じることで最低限の予防ができます。とはいえ可能性がゼロになるわけではないため、心配がある場合は農機具の盗難等を保証する保険への加入も検討しましょう。

 

公道で他の自動車との衝突事故

一般的な自動車と比べて頻度が低いとはいえ、起こった場合の損害が大きいのが他の自動車との衝突事故です。自賠責保険の加入対象外ではありますが、公道で他の車と事故を起こした場合は自動車保険が不可欠です。

自動車保険に加入することは義務ではありませんが、被害者への損害賠償は非常に高額になります。自分の怪我や車の補償を付けることもできますが、最低限、被害者である相手方への補償が付いている保険には加入しておくことをおすすめします。

トラクターを運転する人が加入できる保険の種類と入り方

ここからは、トラクターを運転する農業従事者が加入できる具体的な保険の種類と、その入り方をご紹介します。公的な保険と民間の保険がありますので、その違いを知って加入を検討してください。

自動車保険

トラクターは、自家用車と同様に自動車保険に加入することができます。事故を起こしてしまった場合、被害者への損害賠償や、事故の解決をサポートしてもらえるサービスもあります。

保険会社が提供している自動車保険もありますが、農耕用のトラクターの場合は、JAの自動車共済に加入することで対人事故や車同士の衝突事故、農作業中の運転者の事故などが補償されます。JAの窓口に相談してみましょう。

 

労災保険

労災保険とは国の給付制度で、業務や通勤中の労働者の負傷、疾病、障害や死亡に対して必要な保険給付が行われます。企業に勤める人しか関係が無いイメージがありますが、農業をしている人でも一定の条件下で加入することができます。

農作業中の事故による怪我や病気による治療や、療養のために休業することになった場合の補償、障害が残った場合の年金または一時金の支給、死亡した場合の遺族年金等の支給が行われます。

以下のいずれかに当てはまる人が加入対象となります。詳しい条件は最寄りの都道府県労働局へお問い合わせください。

・特定事業従事者:農業生産物総販売額が300万円以上または経営耕地面積2ha以上の規模の自営農業者で、トラクター等の農業機械の使用や高所作業等のいずれかの作業に従事している人

・指定農業機械作業従事者:農業用トラクターや自走式田植え機等、指定された機械を私用し作業を行う自営業者

・中小企業主:300人以下の労働者を使用する事業者およびその家族従事者で、一定の条件を満たしている人

 

農機具共済

農機具共済とは、農家が掛け金を出し合い共同財産を積み立てる農業共済制度のひとつで、トラクターに限らず、新調達価額が5万円以上の農機具が事故で壊れたり、盗難されたりした場合に備える共済です。

農機具共済は主に2種類あり、「農機具損害共済」は未使用の状態で購入した農機具の事故による損害が対象で、「農機具更新共済」はそのほかに「共済責任の終了または満了に伴う経年減価」に対しても買い替え更新資金が共済金として支払われます。

農業共済組合は、組合の区域内に住所があり、稲作、養畜、果樹栽培、畑作といった農業を営むなど、農業に従事している人であれば加入が認められます。全国の各都道府県に団体がありますので、最寄りの団体に問い合わせてみましょう。

 

収入保険

農機具共済と同様に農業共済組合が実施している制度ですが、収入保険は平成31年に始まった比較的新しい保険です。自然災害や価格低下をはじめ、盗難や運搬中の事故など、農業者の経営努力では避けられない収入減少が補償の対象となります。

加入できるのは、個人、法人を問わず青色申告を行っている農業者で、申請時に青色申告実績が1年分あれば加入できます。保険期間の農産物の販売収⼊が基準の9割を下回ったときに、下回った額の9割を上限に補てんされます。

掛け捨てと積み立ての組み合わせができたり、保険料の安いタイプもあったりと、希望に合わせて選択できる内容がさまざまなので、興味がある人はお住まいの地域の農業共済組合に問い合わせてみましょう。

 

その他の保険(JA共済・東京海上・損保ジャパンなど)

このほかにも、農業を取り巻くさまざまなリスクに対しての保険が提供されています。トラクターの運転に限らず必要な保険に加入して、もしものときに備えましょう。

たとえばJA共済では自動車共済のほかに、労災保険や農機具共済と同様の「農作業中傷害共済」「特定農機具傷害共済」や、病気や怪我などで就農不能となったときのための「生活障害共済」など、さまざまな保障があります。

民間の保険会社も農業に関連した保険商品を発売しています。

東京海上日動は、作業中の対人・対物事故による賠償責任の補償が行われる「請負業者賠償責任保険」や、事業活動を取り巻くさまざまなリスクを1つの保険でまとめて補償する「超ビジネス保険」などがあります。

損保ジャパンの場合は農業人材のシェアリングサービスとの協業により、労働安全対策や農作業リスクのコンサルティングを2021年から行っています。

保険加入の前に免許・ナンバープレートを確認

保険が決まったら加入手続きを行いますが、その前に必ず確認したいのが、運転免許とナンバープレート。トラクターを公道で運転するには運転免許が必要です。主に必要な免許の種類は以下のとおりです。

・小型特殊免許または普通免許

全長4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下(安全キャブや安全フレーム付きは2.8m以下)、最高速度15km/h以下の条件を全て満たした場合

・大型特殊免許

全長4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下、最高速度15km/h以下の条件をひとつでも上回る場合

また、公道走行の有無にかかわらず、小型特殊自動車は課税対象となるためナンバープレートが必須です。申告をしなかった場合、10万円以下の過料が発生する場合があるので注意しましょう。

トラクターの運転に必要な免許について、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

トラクターの運転に免許は必要?法律違反にならないためのチェックリスト

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この記事を書いた人

株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)

1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。

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