オーバーホールとは、農機具に限らず機械全般で、パーツを細かく分解してきれいに掃除し、再び組み立てる作業のことをいいます。
久しぶりに草刈機(刈払機)を使おうとしたらエンジンがかからない、どこか調子が悪い、ということがよくあります。原因の一つとして考えられるのがキャブレター内部の詰まりです。
ここでは、草刈機(刈払機)のキャブレターを正しくメンテナンスする方法を紹介します。
オーバーホールが初めての人、オーバーホールをやってみたけど不調が改善されない人はぜひ、参考にしてください。
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草刈機のオーバーホールはなぜ必要?
エンジン不調の原因はキャブレターかも
草刈機のエンジンがかからない原因のひとつとして、キャブレターの異常が考えられます。
キャブレター(carburetor)とは日本語で「気化器」を意味し、燃料を気化する装置のこと。
燃料タンク内にあるガソリンを気化して霧状にし、空気と混ぜ合わせてエンジンへとスムーズに供給する役割を担っています。
キャブレターはとてもデリケートでトラブルが発生しやすい部位です。
古い燃料を長時間放置したままにすることで粘性が高くなり、内部の目詰まりといった不具合を引き起こすことがあります。
オーバーホールで改善する場合も
オーバーホールでは、製品の部品単位まで一つひとつ細かく分解してから掃除やメンテナンス等を行ったのち、再び組み立て直すことで元の性能を取り戻します。
悪いところのみを調整するメンテナンスとは違い、部品単位ですべてを一から徹底的に点検し直す機会でもあります。
キャブレターの内部の異常もオーバーホールにより徹底して分解・清掃することで不調を改善できる場合があります。
キャブレターのオーバーホールにかかる費用
農機具の修理やメンテナンスを行っているプロの専門業者にキャブレターのオーバーホールを依頼すると、目安としておよそ3,000円から6000円程度料金がかかります。
店舗への持ち込みが難しい場合には、上記の料金に距離や時間に応じて出張費が追加されます。
また、自分のいる場所が出張対応可能地域に含まれているかを確認することも忘れないように注意しましょう。
一方、自分でキャブレターをオーバーホールする場合に必要な物は、以下のとおりです。
・キャブレタークリーナー(泡タイプがおすすめ)
・パーツクリーナー(油汚れを掃除するために使用。多めに用意する。コンプレッサーエアーでも可)
・プラスドライバー(+2番を使用)
・保護メガネ(キャブレタークリーナーを使用するときにかける)
どれもホームセンターなどで比較的安価で手に入ります。
自分でオーバーホールするリスク
オーバーホールについて紹介してきましたが、自分でオーバーホールを行う場合には次のようなリスクがあります。
・分解しても元の状態にできない可能性がある
・直すために分解したのに、逆にもっと調子が悪くなる要因となってしまう
・交換部品の模造品が多く出回っており、探すのが一苦労
・原因がはっきりと目で見て分かりにくい
以上のようなリスクがあるため、初心者の方がオーバーホールを行うのはハードルが若干高いといえます。無理だと思ったらすぐにプロの修理業者に依頼するのが良いでしょう。
また、エンジンの不調がキャブレターのオーバーホールで改善しない場合には他の原因が考えられます。以下の記事を参考に、原因を探ってみてください。
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キャブレターのオーバーホール手順
キャブレターの基本構造
草刈機のパーツの一つであるキャブレターは、燃料をエンジンに供給する重要な働きをしています。
キャブレターはおもに以下の3つの種類に分けられます。
・ロータリーバルブ式キャブレター
ロータリーバルブ式キャブレターとは、草刈機で最も多く使われているキャブレターの一つです。
安定した性能を発揮するため、多くの草刈機で用いられています。
しかし、構造が複雑で異物が混入した場合故障しやすく、メンテナンスが重要です。
・ピストンバルブ式キャブレター
型が古めの草刈機に使用されており、山林作業を行うプロの上級者向けのキャブレターです。
ビストンの上下運動と連動して燃焼をエンジンへ供給します。ロータリーバルブ式より部品が多く、修理するのにコストがかかるのが特徴です。
・フロート式キャブレター
古くから農機具に使用されているキャブレターは、フロートと呼ばれる浮きにより燃料を調整して供給します。
構造が比較的簡単なのでメンテナンスしやすく、経年劣化に強いという特徴があります。
①エンジンからキャブレターを外す
通常キャブレターの周辺にはエアクリーナーが設置されています。キャブレターの分解を始める前に、まずはエアクリーナーボックスのなかにあるエアクリーナーを取り外して掃除します。
エアクリーナーは、エンジンの内部へと吸い込む空気をきれいにろ過するフィルターとしての役割があり、こまめに掃除をしてメンテナンスしないとエンジンの不調を招くことも。
エアクリーナーの形状は農機具の場合はスポンジ状のものがほとんどで、軽い汚れはエアブローで吹き払います。汚れがひどい場合には、灯油・ガソリン・混合油などで洗浄しましょう。
次に、キャブレターを固定しているネジを緩めて本体から取り外します。
②キャブレターの分解
本体からキャブレターを取り出したら、下面にあるプライマリーポンプを4つのネジを緩めて取り外します。
次に、パージボディという黒いプラスチックのパーツを取り外すと、2種類の金属パーツに分解でき、それぞれにダイヤフラムという薄い黒い弁のようなパーツが付いています。
ダイヤフラムは燃料の供給に必要不可欠で、経年劣化による故障が多いパーツなので数年ごとの交換が必要です。
それぞれのダイヤフラムはガスケットというパーツと一体になっています。
2種類の金属パーツからダイヤフラムをそれぞれ取り外したら分解は終了です。
分解・洗浄が終わったあと、元の状態に戻す手順が分からなくならないように、細かく写真を撮って記録しておくようにしましょう。
③キャブレターの掃除
キャブレターには燃料の通り道である小さな穴がたくさんあり、そこにゴミや劣化した燃料が詰まることで故障を引き起こします。
すべての穴にノズルを差し込んでキャブレタークリーナーを吹き付けていきます。
キャブレタークリーナーは泡タイプやジェットタイプがあり、小さな隙間にしっかりと入り込んで留まる泡タイプがおすすめです。その際、クリーナーの泡が飛び散りやすく、保護メガネなどで目に入らないように注意しましょう。
すべての穴に泡を吹き込み終わったら、今度はパーツクリーナーで部品全部の汚れを洗い流していきます。パーツクリーナーの代わりにエアーコンプレッサーでも使用可能です。
④消耗パーツの交換
キャブレターの掃除を終えたら、パーツの交換も一緒に行うことをおすすめします。おもな消耗パーツにはガスケット・ダイヤフラムがあり、それぞれとても安価で手に入れることができます。
ダイヤフラムは種類がいくつかあり、間違えて購入すると使用できないため注意が必要です。
また、キャブレターの下部にあるプライミングポンプのゴムの部分が劣化している場合は、こちらも安価なので交換しておきましょう。
⑤キャブレターの組み立て、エンジンへ取り付け
キャブレターの組み立ては分解したときと逆の手順で行いますが、このとき、分解の際に撮っておいた写真が役立ちます。
ガスケットとダイヤフラムをそれぞれ2種類の金属パーツに取り付け、パージボディ、プライマリーポンプの順番で本体に組み立てていきます。パーツの向きなどにも注意して組み立てていきましょう。
次にキャブレターのエンジンへの取り付け作業です。台座にキャブレターを差し込み、本体へ取り付けます。手で固定しながらボルトを交互に少しずつ回していき、スロットルワイヤーを差し込みます。
クリーナースポンジとクリーナーボックスを取り付けて完了です。
⑥アイドリング調整
アイドリング調整はエンジンが温まり、アクセルを戻した状態でアイドリング調整ネジによりエンジンの回転数を調整しながら行います。アイドリングの目安は、エンジンが止まらない程度の低速回転でなおかつ回転刃が回らない状態です。
アイドリング調整ネジと同時にアクセルも開閉させて状態を確認して終了です。
それでも改善しない場合は…
専門業者に相談し、高額な場合は買い替えも
キャブレターの分解・洗浄を行っても草刈機の復旧が難しい場合には、専門業者に修理を依頼するのが良いでしょう。
しかし、修理には高額な費用がかかる場合もあります。その場合は古い草刈機を元手に買い替えることも検討してみてください。
不要になった農機具を元手に購入する方法
もし、自宅の倉庫に使わなくなった古い草刈機が眠っているという方は、買い替えの手段として買取専門業者に買い取ってもらい、それを元手に買い替えるという方法もあります。
農機具の買取を行うにはどのくらいの金額になるのか相場価格を知ることが重要です。少しでも高く農機具を売るためには、車体をきれいに掃除して定期的にメンテナンスを行いましょう。
買取価格の相場や高値買取のポイントは以下で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
【使わなくなった農機具を売りたい方へ】買取価格の相場は?高価買取のポイント解説
農機具の買取&中古購入はあぐり家へ
あぐり家では、充実のラインナップで草刈機を販売しています。
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また、草刈機についてもっと知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。